『落葉 他12篇』

ガルシア=マルケスの『落葉 他12篇』を読み終える。最初の短編などはちょっと感覚が噛み合ない感じでそんなに面白く読めなかったのだが、『百年の孤独』と同じ、マコンドが舞台になっている表題作の『落葉』はとても面白かった。物語は、大佐、大佐の娘、その娘の息子の三人の語りによって構成されて、マコンドに住む家族の歴史を浮かび上がらせる。
話の中心になるのがその大佐一家に身を寄せていた「博士」という人物。この人がなかなか偏屈な変人。最初の時点ですでに死んでいるところから話が進められるのだが、まさに死と孤独そのもの、といった人物像で身につまされながらも面白かった。

「で、あなたは、博士、御自分にお嬢さんがいたら、ずいぶん幸せだろうな、とお考えになったことはないのですか」
「ないですね、大佐」と彼は言った。それからにっこり笑ったが、すぐにまた真顔にかえって、「私の子供はあなたのお子さんのような具合にはいかないでしょうからねえ」 (p.259)

落葉 他12篇
落葉 他12篇
posted with amazlet at 10.08.03
ガブリエル・ガルシア=マルケス
新潮社
売り上げランキング: 315207

七月の終わり

天童からの帰りに、昼食もとっていなかったので、何か食べて行こう、久しぶりにそばを食べよう、と思ってそば屋に行ってみると支度中。4時か5時くらいの時間だったのでこんな時間だとどこもやっていないのかなあと思いながら、有名な水車そばに行くとそちらはやっていて、盛りそばを食べた。客は他に誰もいなかった。
暑いだけではなく、雨も降った一日で、自分の汗と雨でじっとり濡れて重くなった服を身にまとい、何とも気持ちが悪かったので、また久しぶりに温泉にでも行ってこようかなーというので、わざわざ財布から100円玉と50円玉を1枚ずつ抜き出してかすみが温泉に行ったのだが、それはまるっきり勘違いで、実は入浴料は200円だったのだ。券売機の前でうなだれて、帰ってきた。


一週間

日記は毎日書くのが望ましいけれども、どうしても間があいてしまうな。仕事が忙しい時期なので、あっちにいったりこっちにいったりしながら毎日くらくらして、結局書かないまま寝る、というような状態が続く。書くほどのこともない、というのも実情ではあるものの、でもまあ日記なので少しさかのぼって思い出してみる。
青森の岩木山の麓の民宿で、夜、食堂というか広間のテレビを前に夜ご飯を食べていると、唐突に、テレビがパッパッと消えたり付いたりした。誰かが間違ってリモコンを踏んでいるんじゃないかと思ったけど、リモコンはテーブルの上に置いてあって誰も触れていないのであった。なんだか分からないけど、勝手に消えたり付いたりするのが、ご飯を食べている間に何度か起こった。隣にいたおじさんは「座敷童がいるんだ」と笑っていた。
その民宿には手作りの温泉露天風呂があった。ほんの気持ち程度の明かりが灯っていて、すぐ下を流れる小川のせせらぐ音が聞こえる。月がきれいに見えていた。その日、テレビのロードショーでトトロの映画をやっていたのだったけど、なんというかここも、トトロの世界っぽいところだと思った。
一旦は家に帰ってそれから南の方に向かって、福島は日帰りコースだった。猛暑。暑さの中、みんな頑張っている。
その次の日は休み。休みが挟まったので、今年はそんなにハードでもないような気がしてくるのだが、むしろこれは騙されていると思った方がいいのかもしれない。
家で寝ていると毎日のように蚊の餌食になってしまう。そこで、蚊取り線香の代わりに、普通のお香を炊いてみるのはどうなのだろうかと思い立ち、試してみた。白い半透明の煙をくゆらせて、甘い香りが広がってくる。いかにもお香といった芳香なのだが、思ったよりも火の進みが早く、順に白い灰になって崩れ落ちていく。それで、朝方しっかり蚊に刺された。しかし朝方というのは、お香を炊いていたからこそなのではないのだろうか。
宇都宮。夏のもくもくとした雲に、ほとんど沈みかけた夕日がわずかに引っかかるように、雲を淡い赤に染めていて、雲の中で雷がなっていて、ピカピカと光っていた。
餃子でも食べたいと思って、ホテルの周辺地図に書いてあった正嗣という餃子屋に行ったのだけど定休日の札が下げられていたため、餃子園の方に行った。焼き餃子と水餃子とご飯がセットになったやつを頼んで、あと激辛餃子を一緒に行った会社の人と一緒に頼んだ。餃子はおいしかったので、青じその餃子を追加で頼んで食べた。
次の次の日の朝は今朝ということになるのだけど、外から子どもの声がワアワア聞こえてきて、何かと思って外を見てみると、ちょうど家の向かいでラジオ体操が始まるところだった。もう絵に書いたような夏休みの風景。夏というのは、夏の記憶とか思い出だったり、幻想的なもの、そういうものをもって夏というのではないだろうかと思った。


かぼちゃチーズケーキ

かぼちゃチーズケーキ
かぼちゃって、なんだか秋のイメージがあったりもしますが、夏野菜なんですね。旬の野菜、かぼちゃを入れて、チーズケーキを焼きました。暑い中せっせと裏ごししました。でもチーズケーキなんて混ぜればいいだけだから簡単だなー。
というか、簡単だと思っているうちはこれ以上の味の上達は望めない、みたいなものだったりもするのかもしれないけど、それはそれとして、それなりに、おいしかったです。


『晩春』

西バイパスの西側の、田んぼと田んぼに挟まれた農道みたいな道を自転車で走った。農道といってもアスファルトはきちんと整備され、車もほとんど通らないので、ちょっとしたサイクリングロードみたいな感覚で走れるかも、と思ったけど、道はすぐ終ってしまった。午前中にもかかわらず、日差しはじりじりと照りつけている。今日も暑い一日になる。
産直の販売所があったので立ち寄ってみる。果物は何があるのかと見てみると、今はメロンなんかが時期である模様。他にはスモモなどが並んでいるのだが、売れ行きが思わしくないのか、腰の曲がったおばあさんが値段のラベルを安いのに貼り代えていた。「このスモモ、酸っぱくないよ」と勧めてくる。なんだか気の毒な気もして、というわけでもないけど、一袋買った。店先で食べてみると、まあ確かに酸っぱくはないけど、ぜんぜん甘くもない、という味。だけどまあいいよね。
図書館から借りてきたDVDで小津安二郎の『晩春』を観る。部屋はサウナのように暑いし、外からは草刈り機の唸るような音が響いてくるしで、とても鑑賞する状況じゃないな、後で観ようかな、などと迷ったのだが、とりあえずDVDをMacBookに滑り込ませ、小津映画の世界が画面に広がってくると、なんか暑さやうるささもどうでもよくなって、そのまま最後まで観てしまった。いい作品だなーと思った。なんというか暑さとか音のうるささとか、それはそういったものとしてあるのだ、というような、何かこの世界を全て肯定的に捉えさせるものが、小津の映画からは発散しているんじゃないかとさえ思われてきた。
夜、スーパーの閉店間際に、弁当用に安くなったお惣菜を買いに行く。外は涼しくなっているので、さーっと夜風にあたって自転車を流して行くのが心地いい。お惣菜売場に行ったら、全て売り切れていた。

晩春 [DVD] COS-021
晩春 [DVD] COS-021
posted with amazlet at 10.07.21
Cosmo Contents (2007-08-20)
売り上げランキング: 2425

海の見える

三連休は休みではないけれど秋田に三連泊。海が見えるところに行った。海が見えるところまで行っているのならもう「海に行った」というように言ってもいいのだろうか。間違いではないのかもしれない。でも実際のところ海が見えたという程度の場所だった。いま思えばもう本当に、ここは海以外のなんでもない、というしかないような、そんなところに気持ちをもう一踏ん張りして行ってくればよかった。後先考えず海に入って泳いできたってよかった。海の日なので。
思いのぼか気力も体力も削がれていたわけで。三日間ともまっすぐホテルに戻って部屋にこもっていたのだけど、でも一度秋田の駅前まで歩いていってみる。駅前のフォーラスでは夏のバーゲンをやっていて中に入ってみるとサイクルジャージの古着を売っている店があったので見てみたけど、サイズがいまいち合うものがないので、なんかもうどうでも良くなり、疲れてきたので早々にホテルに戻った。
部屋に帰ってG=Mの初期のころの短編集『落葉 他12篇』を読み始める。これはちょっと重苦しい雰囲気であって、なかなか催眠作用のある本で一話読み終えるともう眠くなり、これは眠ってしまうなーとは思いながらも起き上がる気力はないわけで、そのまま寝る。
そして目が覚める。新しい一日。これまで地道に働きかけてきた数々の行いが、その努力が報われるかのように、極めて良い形で結びつき合うのを予感する。昨日までの苦悩はどこかへ消えてなくなった。カーテンの隙間から神々しくベッドの上に差し込む朝の光。
……そんな朝がやってくることははたして、あるのだろうか。なんとなくいやあな夢をみていた気がする。疲れが抜けないどころか、寝たことでより顕在化されたかのような鈍い重みを体中に覚え、おぼつかない足取りでエレベーターに乗り込み最上階にある大浴場の湯船に浸かってようやく眠気を追い払う。


アルフレッド・ヒッチコック『ロープ』

時折雨の降る涼しい一日。部屋の中がばかみたいに暑くならないので過ごしやすくはある。
昨日の夜、図書館から借りてきたDVDでヒッチコックの『ロープ』を観始めたのだけど、途中であまりにも眠くなったのでDVDをストップさせて目を瞑って横になったらそのまま朝までまぶたが開くことはなかった。それで、目が覚めてご飯を炊いて弁当の用意をしたり身仕度をしたりしてから、出社前にまた観始めて、それでも出掛ける時間までに終わらなかったので、帰ってきてから残りを観た。
そんなふうに細切れに観てしまったのだけど、実はこの映画はワンシーンワンカットで撮られていて、まったく編集されていない一続きのドラマであるかのように見せている作品なのだそうで、普通に丸々観れば、ストーリー上の時間の経過と観ているこちらの時間が同じということになる、という映画になっている。
だけどそういった映画の手法的なことはなるほどなーと思うけれども、それはともかくとして、おもしろかったのは最後の緊迫した場面などで、冷静に真相を暴こうとするどちらかといえば善良な側にいるはずの大学教授が、ラストでとち狂ったように犯人を追い詰めるのがなんとなく異常な雰囲気を醸していておもしろかった。窓から見える暗くなった高層ビルの景色の本物じゃない感じや、隣のビルのネオンの光が部屋の中に入ってきたり、パトカーのサイレン音が聞こえて来る中一人がピアノを弾き出して、これはいよいよシュールな場面になったと思ったらそこで幕切れだった。ヒッチコックの作品ってやっぱりおもしろいなと思った。

ロープ [DVD] FRT-002
ロープ [DVD] FRT-002
posted with amazlet at 10.07.15
ファーストトレーディング (2006-12-14)
売り上げランキング: 35010

ルバーブ栽培:タルトを作りました

ルバーブのタルト
この前のルバーブでタルトを作ってみました。タルト生地にアーモンドクリームを詰めて1〜2cmくらいに切ったルバーブを乗せ、その上にクランブルを乗せて焼きます。僕はアーモンドクリームがけっこう好きでこの手のタルトはフルーツを変えてよく焼くのですが、ルバーブもおいしいに違いないと思って焼いたら、やっぱりおいしかった。
それにこのルバーブ特有の酸味。やっぱり弱かったけれどもふわっと口の中に広がって、ルバーブってこんな感じだ! と思いました。あんまり酸っぱすぎずに、お菓子としての味のバランスはむしろ良かったのかもしれない。でも味わってみたいみたいのは、うわぁ! 酸っぱい!という鮮烈さであったりもします。
とりあえず栽培してみた、というようなルバーブの、しかも初めての収穫だから、こんなものかもなあとも思うのですが、もっとちゃんと育てると酸味は強くなるのだろうか。家庭菜園で適当に作ったイチゴがそんなに甘くないというのと同じで、勝手に生えるだけにしておいてもルバーブは酸っぱくならないのかなー。
でもタルトにしてみたら、この魅惑的な酸っぱさの片鱗は感じられたので、すごく良かったです。今度はもっとルバーブをたくさん投入して作ってみよう。
ルバーブのタルト