作者は、ふて寝しようと思った/いちごのタルト

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超絶に失敗したチーズケーキを作った際のパートシュクレの残りで土台を成型し、新しくこしらえたクレームダマンドを詰め、いちごを敷き詰めた上にクランブルを振りかけてオーブンに投入した。いちごのタルトだ。これまでも何度か同じものをつくったことがある。自尊心の回復に努めようと、これだったら失敗のないだろうと思われるものをつくることにしたのだ。そうしたら、オーブンに入れてタイマーをセットしたまま、眠りに落ちて、そのまま朝になった。しかるべき時間で取り出されなかったシュクレ生地には余熱で火が通り過ぎた。作者は、ふて寝しようと思った。


週末ジム日記

土曜日は雪は降らないようだったので外に自転車に乗りに出かけた。40kmくらい。雪が降らない代わりに雨が降った。久しぶりの実走でたいへん気分が良くなり満足であったのだが、利用しないと会費がもったいないという思いでジムに行っていつものメニューをやった。帰りがけ、2月から週末に加えて平日の夜も使えるプランに変更してもらった。

トレーニングしすぎというほどではまったくないのだが、体が弱いので次の日の朝はまあまあの疲労感でぐったりして少し寝坊した。午前中はパウンドケーキを焼くなどした。昼はうどん。

午後からは買い物等の用足しに。TUTAYAにホン・サンスの『秘花』を返しに行き、ホンサンスのなんとかという(タイトル忘れた)DVDを借りてきた。製菓用品店にいって、パウンドケーキの型を買い足した。次からは2台分の分量で作ったほうがいいような気がしたため。眼鏡屋で自転車用のアイウェアを物色した。試着したところ、着け心地がユニクロの1000円のサングラスとはまるで違うものだと思った。

 

日曜日は7時までの営業となっているから、運動後に風呂に入ることを考えると、遅くても6時半にはトレーニングをやめないといけない。6時くらいには人がいなくなってきて、ガラガラになった。どのマシンも使い放題、というか時間がないから使い放題じゃなかった。筋トレを一通りやって、エアロバイクを20分漕いだ。人がいないところでトレーニングをするのもけっこう味気ないものだ。

時間がないので終わりのストレッチもできないまま、お風呂に飛び込んだ。あがると蛍の光が流れていた。着替えて館内を出ると、来るときはそんな気配もなかった、辺り一面を真っ白に埋め尽くしてしまう勢いの雪が降っていた。

雪の中を自転車で家に帰った。着替えを洗濯機に入れて回し、夕食にした。パスタを茹でて(最近は麺類ばっかり食べている)、じゃがいもと白菜のポトフ(最近はポトフばっかり作っている)をつくって食べた。コーヒーをいれて飲んだ。雪はどんどん積もっている。


それは超絶に失敗作だった、と作者は語った。

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チーズケーキなんてどうやっても失敗しないだろうと、自分の技量もかえりみず高をくくっていたという。思いも寄らない悲劇は、往々にしてそうやって起こる。作者の創意工夫というか要するに素人の思いつき、それに勘違いとうっかりミスの三つが重なり、非常によろしくないものができたそうだ。

しかし、もう引っ込みがつかなかった。提出しないわけにはいかない。それでも意外にも意外であるということがあり得るかもしれないという一縷の望みをかけて、そっとテーブルの上に置いた。無情にも意外なことはなにもなかった。よろしくないものはよろしくない結果を招いた。そのときのことを、彼は「さっさと帰って寝たかった」と振りかえる。

これはもう、なかったことにしよう、ここにも何も書くまい、と、その夜まくらを濡らして決心したそうなのだが、いっときでもチヤホヤされ、おだてられ、気をよくした場があったこと、おそらくそんな経験に乏しい彼は、その思い出までぜんぶ忘れてしまいたくはなかったのだろう、結局のところ、その卓上の写真は掲載された。視覚と味覚が接続されていないことが救いである。

チーズが時間をかけて熟成するように、過去のものとなった記憶が変質化して、それほど悪くはなかったと思える日も、もしかすると来ないとは限らないではないか、最後に作者はそう言った。そんな日など来ないことは、まったくもって明白だった。


休日ジム日記ーー写真のことを考えていない

休日だったのでジムに行った。ロッカールームで涼しげな軽い格好に着替えしてフロアに入るなり、僕を知っているトレーナーは外を見ながら「今日なんかは自転車に乗れるんじゃないですか?」と言った。虚をつかれる思いだった。言われてみれば、たしかに雪もなく路面は乾いていた。この時期にしては珍しいことに青空も見えた。ちょっとばかり寒いだろうことを除けば自転車に乗るのにまったく問題はない天気だった。でも外に自転車に乗りに行こうなんてこれっぽちも考えてなかった。

「こんなところでぬくぬくしていないで外で乗ってこいよ」というように聞こえたのは気のせいなので、たいへん快適に空調の効いたジムのエアロバイクで軽くウォーミングアップをし、ストレッチをし、ウエイトトレーニングをして、テレビを見ながらトレッドミルでランニングをし、それからまだエアロバイクを回した。サラサラとした汗をかいた、約2時間の運動だった。

会員の種別はホリデー会員で、利用できるのは休日だけということになっているが、これに平日の夜も使えるタイプのやつにしようかと思案している。そうすると月額は1500円アップということになるが、このジムには温泉もついているので毎日お風呂を利用することを考えれば、割高でもない気がする。

雪が降って自転車に乗れなくなった頃から、新しい自転車がほしくなった。ほしいフレームはすぐに見つかった。ネットで舐め回すようにそればっかり見ていて、ふと我に返ってうんざりする。自転車に乗っているときは、自転車のことなんかどうでもよかった。ただ自転車に乗って前に進んでいればよかった。

 

あなたがカメラのことを考えているとき、あなたは写真のことを考えていない——“シンプルということ”

Ken Rockwellという人が書いた文章(訳/Blue-Period先生)なのだが、「カメラ」を「自転車」と置き換えてもいいだろう。どちらも「機材」の話だ。ではそのとき「写真」はなにと言い換えればいいのか。


抱負2014

冬のあいだ、ジムに通うことにした。昨年の12月の半ば、家の近くのフィットネスクラブに入会した。休日限定会員なので、土日と祝日だけだけれども、いくらかでも体力をつけたいとの思いで、入会したのだった(ちょうどキャンペーンで入会費がタダになった、という後押しもあったので)。

もともとはジムみたいな場所には感心がなかったというか、ランニングマシンやエアロバイクで運動するのなんて、ネズミがクルクルと回し車の上で回っているのと同じで、回しているのか回されているのかわからない、くそつまらないものだと思っていた。ところが、実際やってみると、それほど苦じゃないぞ、と思った。空調の効いた快適な室内で、Tシャツと短パンのたいへん楽な格好で、さらさらと汗を流すというのが、こんなに良いものなのかと思った。

それに比べたら、外で走るなんて危険がいっぱいだ。冷たい雪や氷や風、固いアスファルト。去年の冬、外を軽くジョギングしたら、すぐに足を痛めてしまったではないか。ぼくのように体の弱い人間は、こうした温室でぬくぬくと体をつくっていくのがよろしいに違いない。

ほんとうに、最初になにやら高性能の機器で体をスキャンしてもらったところ、「やせている」「筋肉量が少ない」などと判定されたのだった。虚弱で貧相でみじめな身体なのであった。長い距離を走ろうとするとすぐ疲れてしまうのは、体が弱いからだ。

そんなわけで今年の抱負は、健全な精神は健全な身体に宿るといった言葉を実践すべく、1.地道に体力をつけたい、2.それでもって自転車でもっと遠くまで行きたい、といったところです。

 

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花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方