磐梯吾妻スカイライン/浄土平

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5月30日。うららかな5月最後の週末に、磐梯吾妻スカイラインに行ってきた。前回まさかの通行止めだったので、そのリベンジの機会をうかがっていたのだった。ネットで道路状況を確認して、今度は大丈夫。前回は米沢から福島へ向かったが、今回はその逆、福島スタートとした。

朝、山形駅から始発の新幹線で福島駅まで輪行。福島駅で自転車を組み立てる。輪行バッグをサドル下に括り付け、いざ出発。駅からスカイラインまでは一本道。まだ朝の時間だというのに暑さを感じるようになった。本格的な夏になったらどれだけ暑くなるのか、もう早朝にしか乗らないことにしたい。(しかしこの「したい」というのは本当にそうしたいと思っているのになぜかできないという問題)

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市街地を抜け出して登りが開始となり、汗がさらに吹き出してきた。でも山に入ると森の木陰が気持ちがよく、川のせせらぎと鳥の鳴く声が聞こえ、麗しいなあ、のどかだなあ、と思っていたけれども、足下の坂の具合はのどかというものでなく、鋭く荒々しい。

融雪仕様か何かで白い道路があってこれがまたキツい。山形の上山から蔵王に登るときにも白い道で10%超の激坂区間が数十メートルあるが、こちらはそれが数百メートルが続く感じ。淡々とペースを刻んで、上って行く。10%の坂をしばらく走っていると、5%くらいの坂はものすごく緩い坂に感じられる。

思ったほど交通量は多くはなかった。時々、バイクと車が追い抜いて行った。ポルシェが追い抜いて行った。所沢かどこかのナンバーの白いポルシェ。朝、東北道をかっ飛ばして福島までドライブというわけである。その存在感は他の車とは一線を画していた。きわめて曲線的かつ硬質なフォルムの後ろ姿が光を放っていた。たいへん美しかった。

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上り続けていくうちに標高1000mを越え、1100mを越え、1200mを超えた。ふと気がつくと、前方に吾妻小富士が見える。周囲の植物の背丈も低くなり、いよいよ、山のてっぺんに近づいている。そしてごつごつした茶色い岩肌が出てきたと思うと、そこに浄土平の光景が広がった。これはやばい。否応なしにテンションが上がる。山肌から火山ガスが吹き出しているのが見えている。この別世界感、非日常感がすごい。まさに浄土。

火山ガス注意、という立て札があり、車の窓を開けるな、と注意しているけれども、窓も何も、こっちは自転車なのでぜえぜえと息をしているのである。火山ガスを吸いまくるのは不可避である。でもまあ、それほど匂いも感じなかったけれども、興奮してわからなかっただけかもしれない。

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浄土平レストハウスに到着した。吾妻小富士には山頂まで歩いて上って行けるが、今回はパス。レストハウスの自販機で水などを調達して、ちょっと休憩。

ここからもう少し上っていくと道路最高点の1622m地点があり、そこを通り越して下りに転じる。途中途中の絶景ポイントでは人々は車をいちいち停めて風景に見入っている。その中にいたのが先ほどのポルシェで、たいへんに上品で身なりのよい、教養のありそうな男女が乗っていた。私もポルシェを乗り回す人生を送りたかった。始発の電車にドタバタと自転車を持ち込んで人々に迷惑そうな目で見られるのではなく、自宅の広いガレージから優雅に車を駆り出して庶民の羨望の眼差しを集めながらドライブする、そんな人生を。そんな人生においては、自転車なんか床の間にでも飾っておけばいい、と思った。

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優雅とはほど遠いドタバタとしたブレーキングで坂を下り、今度は磐梯吾妻レークラインに入る。ここからは前回通ったルートを反対に走るだけ。緩やかなアップダウンが続くレークライン区間を攻略し、こちらも最高点を通り過ぎ、補給ポイントのコンビニに到着。T字路を右に、米沢方面へ。最後の登り、西吾妻スカイバレーへ突入したものの、脚の疲れも感じはじめていて、ああこっち側も傾斜がきついなあ、などと思いつつ、やっぱり優雅とはほど遠いノソノソとしたペダリングで登坂して山頂の県境へ到達した。

この西吾妻スカイバレーではヒルクライム大会もやっているようである。たしかに、いい坂ですなあ。このぐねぐねうねっている坂は「東鉢山七曲り」というらしい。

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峠を下って米沢の市街地へ向かおうとするとき、工事区間の信号待ちで一人のロードバイクに追いつき、あ、どうも、とあいさつをした。少し話したところ、聞き間違いでなければ、「片道100kmくらい、その辺を走ってきたところ」だという。その辺、と簡単にいうけれども、それってたぶん僕が走ってきたコースを2回繰り返す感じなんじゃないのか。獲得標高5000mくらいいってるんじゃないのか。意味わかんねえ。

米沢駅からまた輪行で山形へ。ちょうど次の電車が新幹線だったので帰りも特急で。

浄土平は楽しみにしていた場所だったが、期待以上に素晴らしかった。米沢から行くにしろ福島から行くにしろ、僕の家からは車か電車を経由して行かないといけないが、それでもまた何度でも来たいと思う場所のひとつになった。

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